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中村 和幸
JAERI-M 82-026, 21 Pages, 1982/03
現在、臨界プラズマ試験装置(JT-60)では、リミタ及びライナの表面に数十mの厚さで低Z材料を被覆することが検討されている。しかし、被膜は高温高密度のプラズマに直接さらされるため、プラズマから放出される粒子等によって種々の損傷を受ける。特にプラズマが異常放電した場合やNBIが対向面を直撃した場合には、数~数十kw/cmの熱負荷を受けることとなる。従って、その様な厳しい条件下での被膜の健全性を調べることは極めて重要である。そこで我々はNBI用イオン源テストスタンド(ITS-2)を用いた熱衝撃試験を、低Z材を被覆した試料について行った。試験を行った試料は、CVD法によって被覆したTiC及びTiNと、PVD法によって被覆したTiCである。熱衝撃試験の結果から、Moに被服した試料ではPVD法のTiNが、最も剥離しにくいことが判った。
山田 礼司; 中村 和幸; 西堂 雅博; 村上 義夫
Journal of Nuclear Materials, 111-112, p.856 - 860, 1982/00
被引用回数:11 パーセンタイル:73.29(Materials Science, Multidisciplinary)モリブデン及びインコネル625にコーティングしたTiC,TiN及びC被膜の熱疲労試験を行った。200Cから1400Cまでの昇温降温の熱サイクルを3000回行い熱疲労の評価を行った。その結果、Cコーティング膜は1回の熱サイクルで基板からはがれ、TiC及びTiNの被膜ははがれなかった。TiC及びTiNに関しては、熱サイクルの回数が増加するに従い、クラックの発生及びクラックのみぞが広がるという現象が表われた。クラックのみぞの広がり及び被膜のゆがみ及び重量減少から見て、化学蒸着によって作製したTiCおよびTiNが物理蒸着法によるそれよりも優れている。
幕内 恵三; 浅野 雅春; 阿部 俊彦
日本化学会誌, 1976(4), p.686 - 691, 1976/04
重合条件の異なる2種類のポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF)に線を照射し、分子構造と橋かけ効率との関係を検討した。高温乳化重合法のPVdF(Kynar)は、低温懸濁重合法のPVdF(KF)と分子構造が異なり、頭-頭結合の生成などによる-CH-CH-,-CF-CF-の異常付加結合と、分岐が多いが、照射効果にも著しい差が認められた。すなわち、KynarはKFよりも橋かけ効率が高く、フッ化水素の発生が少なかった。異常付加結合の存在は、照射によって生成したアルキルラジカルの逐次脱フッ化水素反応の経路を断ったため、橋かけへ進むラジカルの割合が増し、橋かけ効率を高めると考えられた。この推定はテトラフルオロエチレンとの共重合体の実験から確認できた。また、分岐の存在は橋かけの場である非晶部の量と運動性を増加させることによって、橋かけ効率を高めると考察した。
幕内 恵三; 浅野 雅春; 阿部 俊彦
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 14(3), p.617 - 625, 1976/03
各種ポリマーの放射線橋かけなどの反応において,発生した気体生成物が反応に影響をおよぼす例は,これまでにあまり知られていない。ポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF)を水酸化カリウム(KOH)存在下で照射したところ,KOH不在下に比較し,PVdFの橋かけと脱フッ化水素の反応が速くなる事実を見出した。検討の結果,PVdFの照射で発生したフッ化水素(HF)が,これらの反応を抑制するのであり,KOHは単にHFの吸収剤として作用していることが明らかになった。ESRからの知見を考慮し,HFがPVdFのアルキルラジカルと反応し,ラジカルを安定化するため,アルキルラジカルの主反応である橋かけと脱フッ化水素反応が抑制されると考えた。
幕内 恵三; 浅野 雅春; 早川 直宏; 瀬口 忠男; 荒木 邦夫
日本化学会誌, 1975(11), p.1990 - 1994, 1975/11
PVdFの放射線橋かけに対する照射温度および照射後の熱処理の影響を検討し,分子鎖セグメントの運動性との関連を考察した。ポリエチレン,PVCなどにおいてはガラス転移によって橋かけ挙動が変化することが知られているが,PVdFでは,ガラス転移以外においても変化することが明らかとなった。すなわち,Tgよりも90C高温における50CでG(C)とG(S)の活性化エネルギーが変化し,50C以上の高温では橋かけと主鎖切断が抑制された。また,照射後の熱処理効果も著しく,高温ほどゲルが増加した。広幅NMRからの知見によると,50Cは分子鎖セグメントのミクロブラウン運動が活発になる温度であった。ミクロブラウン運動によって,主鎖切断方ラジカルと側鎖切断ラジカルとの末端結合が容易になり,橋かけと主鎖切断が抑制されると考察した。